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choroねえさんの「シネマ&ステージノート」

映画と観劇感想中心のメモブログです♪

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映画「ノマドランド」(2020)

ノマドランド

映画館の大スクリーンで映画を観るのは、昨年に観た「テネット」以来。なんと半年ぶりとなりました。こんなに長期間映画館に足を運ばなかったのは何年ぶりかしら。
コロナ禍においては、洋画の新作はほとんど公開されず、暮に公開のあった「ワンダーウーマン」などは大画面で観たかったのですが、年末のバラバタに追われて観そびれてしまいました。

今年はオスカー授賞式もいつもより2か月遅れくらいだというのに、先日発表されたノミネート作品も日本での公開作は少なく(ネトフリは観れないし)一本も観ていないのでどんな作品なのかさっぱりわからない・・・(涙)

ようやく、3月公開作品の中にこの「ノマドランド」や「ミナリ」などがあり、いつも行く近くのシネコンでやっていたのと、マクドーマンドは大好きなのでこちらを観ることにしました。なんと、そのシネコンのある駅で降りたのも今年初めてでした。(+o+)

本当に余程の必要な買い物や用事がない限り、フラフラとは出かけなくなりましたよね~
あらかじめ日時指定のある舞台だって、観るだけですぐに帰宅の場合が多く、ちょっと寄り道ということも少なくなり、本当にコロナ前とは行動範囲が変わってしまったことを実感します。

さて、映画ですが、舞台感想にも書いたように、やっぱり舞台は生で観てナンボ、映画も劇場の大スクリーンで観てナンボだなぁと。(笑)久々に目の前に拡がるスクリーンで観る映画は、家で観る時より何倍も集中&感動できますね。当たり前のことですが、チケットを買ってその時間をその作品のためだけに集中できる贅沢は、やっぱり家で気楽にTVを通して観るのとは一味違います。

この作品はロードムービーぽいのですが、アメリカの広大な田舎の光景がまたスクリーンならではの感動を呼びますね。本当にアメリカって広い!あのトレーラーハウスがゆったりと駐車されている様子は日本ではありえないものだし、広いが為のいい面、悪い面がよくわかります。

主人公を始め、ここに出てくる人々はいわゆる高齢者世代、マクドーマンド扮するファーンはほぼ私と同世代と思うし、いろいろと考えさせられることもありました。

定年後にキャンピングカーで放浪の旅に出る話と言うと、ジャック・ニコルソンの「アバウト・シュミット」を思い出しました。そちらは定年退職した男性の話でしたが、こちらは逆に夫に先に旅立たれた女性の話。テイストも全く違います。そして若者が主人公だった「イントゥ・ザ・ワイルド」も思い出します。イントゥ~はラストがとても哀しいものでした。しかし本作は年代的なこともありますが、人間の自然体な姿が印象に残ります。

ファーンのような強い女性はなかなかいないと思いますが、その芯の通った生き方には驚くと同時に敬服させられます。初老の粋に入った女性が、たった一人で放浪の旅に出て、しかも途中途中で日雇いの労働をしながら生きていく・・・ってとても今の自分には出来ないし、できる人もそう多くはないでしょう。何より普通は孤独に負けてしまうような気がします。

ただ、ファーンのようには生きられなくても、少しずつ身軽にしていこうという考えは最近話題の老前整理や断捨離に通ずるところもありますね。確かに自分に置き換えても、昔ほど物に執着はなくなってきて、とにかく少しでも身の回りをすっきりさせて、この先自然体で楽に生きられるように、なんて考えるようになってきましたから(笑)。それって、結局過去を引きずるかどうかなんですよね。よく思い出の品とか捨てられないと言いますが・・・そういった意味では、ファーンが持っていた綺麗な食器(割れてもまたくっつけて持っていようとする)は、ファーンが過去を捨てられない象徴だったのかもしれません。

印象的だったシーンに、ファーンに好意を寄せているデヴィッド・ストラザーン扮するデイヴの家に招待されて宿泊しているとき、綺麗で温かなベッドにいるにも関わらず寝付かれずに夜中に自分の車の狭いベッドへ移動して休むところがありました。どんなに洗練された部屋でも、やはりそこはファーンの居場所ではない、ということをファーン自身にも、また我々観客にも伝わるシーンで、その後ファーンは黙って静かにデイヴの家を去ります。

実際にノマドとして遊牧民的な生活をしている人々のエピソードも自然にストーリーの中に入っていて、架空の人物であるファーンとも自然な形で描かれているのは見事ですね。

ラストシーン、ファーンは、ずっと引きずっていた夫との思い出の地に最後に別れを告げることで、そこから自由を得たノマドとして新たな道に歩き出したのではないでしょうか。

それにしても、アメリカは土地だけでなくいろいろな意味で広く格差の激しい(ある意味自由)国であるというのを、あらためて思い知らされます。国土の広い国は人口も多いし、我々日本人には到底想像もつかないことがたくさんあるのは当然ですね。このコロナ禍においても、そこがそれぞれのお国柄で感覚が違うわけだし、これは何がよいとか悪いとかではなく、自然がそのように人間を育てているわけで、どうこうできるものではないでしょう。日本でこのような放浪生活を送ろうと思っても、山合いの道は狭いし、平地では数キロ(それ以下?)走れば民家や街に行き当たりますから、最初から無理ですよね(笑)。

大画面で、映像、音楽(こちらがまた素晴らしい)を体感しつつ、ストーリーだけでなく感覚からも受け止める作品でした。
しかし、晩年の過ごし方・・・本当に考えてしまいます。。。


原題:NOMADLAND
ジャンル:ドラマ
製作国:アメリカ  
Color  108分
初公開日: 2021/03/26  
公開情報:ウォルト・ディズニー・ジャパン  
映倫:G

監督:クロエ・ジャオ
製作:フランシス・マクドーマンド、ピーター・スピアーズ、モリー・アッシャー、ダン・ジャンヴィー、クロエ・ジャオ
原作:ジェシカ・ブルーダー  『ノマド:漂流する高齢労働者たち』(春秋社刊)
脚本:クロエ・ジャオ
撮影:ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ
編集:クロエ・ジャオ
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ

出演
フランシス・マクドーマンド・・・ファーン
デヴィッド・ストラザーン・・・デイブ
リンダ・メイ・・・リンダ
ボブ・ウェルズ・・・ボブ

【解説とストーリー】
 ジェシカ・ブルーダーの世界的ベストセラー・ノンフィクション『ノマド:漂流する高齢労働者たち』を「ファーゴ」「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンド主演で映画化した人生ドラマ。リーマンショックを機に家を手放し、キャンピングカーで全米を移動しながら季節労働の現場を渡り歩くノマド(遊牧民)生活を始めた女性を主人公に、厳しい現実と向き合いながらも、ノマド仲間たちと温かな交流を重ね、自らの責任と覚悟を胸に、自由で誇り高き旅をつづける姿を、アメリカの美しい自然をバックに前向きな筆致で綴っていく。共演には「グッドナイト&グッドラック」のデヴィッド・ストラザーンのほか実在のノマドたちも多数登場。監督は前作「ザ・ライダー」で注目を集めたアメリカ在住の中国人監督クロエ・ジャオ。
 ネバダ州の企業城下町に暮らしていた60代女性ファーン。リーマンショックの影響で長年住み慣れた我が家を失った彼女は、亡き夫との思い出を詰め込んだキャンピングカーでの車上生活を始める。アマゾンの集配センターで短期バイトの職を得たファーンは、そこでリンダという女性と知り合う。彼女も車上生活を送る現代のノマドの一人で、ファーンはアリゾナの砂漠で行われるノマドの集会に誘われるのだったが…。(allcinemaより)
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こちらこそご無沙汰しています。 * by 木蓮
ノマド生活が魅力的に見えるのは、世間へのしがらみを捨てたところと、そういう人生を選ぶ強さへの憧れからかも知れません。
しかし当人にすると、強くならざるを得ないんだろうとも思います。

確かにモノへの執着は減ってきましたね。
逆に断捨離生活へ憧れます。
自分の場合、片付けや掃除を楽にしたいってところが大きいです( ̄∀ ̄*)イヒッ

Re: einhornさん * by choro
einhornさん、

本当に考えさせられます。
おっしゃる通り、映像、音響共に大画面で観る作品だと思いましたし、アートっぽいというのも同じように感じました。
おそらく、当然ながら、その人の立場、年代、などによっていろいろな感じ方ができるのではないでしょうか。
最終的に自分の意思で選択するというのは、人生誰もが付きつけられる課題ですね。
このコロナ禍において観るからこそ、また平時とは違った感想を持つことも多いかもしれません。

考えさせられるところ多かったです。 * by einhorn2233
映像はきれいですし、サラウンドで聞こえるリアルな音響効果もあって、アートっぽい映画という印象でした。映画館の大画面で観る映画だなって。
内容的には色々と考えさせられるところ多かったですけど、過去を吹っ切ってノマド生活へ入っていくというのは、気が付きませんでした。人それぞれの感じ方があるのでしょうけど、若い人にはこういう生き方はどう映るのか気になります。本人は決して望んだわけではないけど、最終的には自分の意志で選択したという微妙なラインですもの。

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こちらこそご無沙汰しています。

ノマド生活が魅力的に見えるのは、世間へのしがらみを捨てたところと、そういう人生を選ぶ強さへの憧れからかも知れません。
しかし当人にすると、強くならざるを得ないんだろうとも思います。

確かにモノへの執着は減ってきましたね。
逆に断捨離生活へ憧れます。
自分の場合、片付けや掃除を楽にしたいってところが大きいです( ̄∀ ̄*)イヒッ
2021-04-10 * 木蓮 [ 編集 ]

Re: einhornさん

einhornさん、

本当に考えさせられます。
おっしゃる通り、映像、音響共に大画面で観る作品だと思いましたし、アートっぽいというのも同じように感じました。
おそらく、当然ながら、その人の立場、年代、などによっていろいろな感じ方ができるのではないでしょうか。
最終的に自分の意思で選択するというのは、人生誰もが付きつけられる課題ですね。
このコロナ禍において観るからこそ、また平時とは違った感想を持つことも多いかもしれません。
2021-04-07 * choro [ 編集 ]

考えさせられるところ多かったです。

映像はきれいですし、サラウンドで聞こえるリアルな音響効果もあって、アートっぽい映画という印象でした。映画館の大画面で観る映画だなって。
内容的には色々と考えさせられるところ多かったですけど、過去を吹っ切ってノマド生活へ入っていくというのは、気が付きませんでした。人それぞれの感じ方があるのでしょうけど、若い人にはこういう生き方はどう映るのか気になります。本人は決して望んだわけではないけど、最終的には自分の意志で選択したという微妙なラインですもの。
2021-04-05 * einhorn2233 [ 編集 ]