2013-02-05 (Tue)✎
かの有名なフェリーニ作品ですが、今まで未見でようやく「午前10時の映画祭」で観ることができました。バンクーバーオリンピックで高橋大輔選手がこのテーマ曲を使って演じた時とても感動したので早く本編を観なくてはと思いつつなかなか機会に恵まれず・・・・
全編に渡り流れるニーノ・ロータのメロディは秀逸ですね~音楽が作品にこれほどマッチして、また効いている映画って最近少ないですよね。
「どんなものにも存在する意味がある。たとえ石ころでも」
という言葉がこの映画を語っていると思いますが、人はそれに気づくのが遅すぎることが多いのかもしれません。ラストシーンのザンパノの涙は人間の姿そのもので、心に響きますね。
60年近く前の映画ですから、現代とはかけ離れた人々の生活ですが、粗野でわがままなザンパノのような人は今だって存在します。ジェルソミーナは白痴(最近は使わない言葉ですね)の設定ですが単純に知能が遅れているというよりその純粋さはザンパノにとっては天使のような存在だったのかもしれませんね。彼は最後の最後にそのことに気づきますが、現代でもそういう人っていると思います。傍にいる時は全く気づかず、失ってから気づくというのはよくありますから。
ストーリーはそれほど起伏があるわけでもなく、最近のスピード感溢れる映画に慣れていると少し退屈に感じるところもありますが、逆に今では作れない雰囲気の作品でもありますね。大道芸も今と違って至って単純。悪く言えばあのワンパターンさでずっとやっていくって凄い!(^O^; でも、昔はこういう単純な芸がサーカスとかであったというのは母たちから聞いたことがありました。口から火を吹く人とかね。(笑)
全てがシンプルだった時代ですから、奴隷を買うのも娘を売るのも本当に簡単だったわけで(「おしん」を思い出しますが)複雑な現代との根本的な社会の違いを感じます。60年前はすでに時代劇の世界になるんですね。^^;
アンソニー・クインは「アラビアのロレンス」での印象が強いのですが、さすがの存在感です。憎たらしいくらい乱暴でジェルソミーナに対する態度も許しがたいものですが、それがラストとのギャップに繋がり、よりラストシーンが生きて来るんだと思いました。
ジェルソミーナ役のジュリエッタ・マシーナは全く知らない女優さんでしたがフェリーニ監督の奥さんだったんですね。無垢な雰囲気がとても素敵でした。
イタリア映画は心に響く作品が多いです。フェリーニ作品もほとんど観たことがありませんが、機会があったら他の作品も観てみようと思います。
原題:LA STRADA
上映時間:115分
製作国:イタリア
公開情報:劇場公開(イタリフィルム=NCC)
初公開年月:1957/05/25
リバイバル:→NCC-74.9
ジャンル:ドラマ
映倫:G
監督:フェデリコ・フェリーニ
製作:カルロ・ポンティ、ディノ・デ・ラウレンティス
脚本:フェデリコ・フェリーニ、エンニオ・フライアーノ、トゥリオ・ピネッリ
撮影:オテッロ・マルテッリ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:
アンソニー・クイン・・・ザンパノ
ジュリエッタ・マシーナ・・・ジェルソミーナ
リチャード・ベースハート
アルド・シルヴァーニ
マルセーラ・ロヴェーレ
【ストーリー】
怪力自慢の大道芸人ザンパノが、白痴の女ジェルソミーナを奴隷として買った。男の粗暴な振る舞いにも逆らわず、彼女は一緒に旅回りを続ける。やがて、彼女を捨てたザンパノは、ある町で彼女の口ずさんでいた歌を耳にする……。
野卑な男が、僅かに残っていた人間性を蘇らせるまでを描いたフェリーニの名作。(allcinemaより)
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No title * by ギャラさん
シーラカンスさんから訪問しました。
「ギター弾き・・」と似ていますね。
どちらも感銘を受けました。
TBさせてください。
「ギター弾き・・」と似ていますね。
どちらも感銘を受けました。
TBさせてください。
No title * by choro
★レミさん、そうですね。私も最初はちょっと違和感がありましたが、同じく最後まで観て名作と言われている意味がわかったような気がしました。音楽が本当に素晴らしいですね。
No title * by レミ
スピード感が今の映画と違って最初は違和感がありましたが、最後まで見てあぁ良かったなぁとジーンとしました。
音楽も良いですよね。
音楽も良いですよね。
No title * by choro
★シーラカンスさん、本当に失ってから気づくことって多いですよね。
年をとればとるほど、それを感じるようになります。
「ギター弾きの恋」を観た時はこの映画を知らなかったので全くわからりませんでした。
細かいところはすっかり忘れていますが、好きな作品だったので時間のある時観てみたいと思います。
TBありがとうございました。
年をとればとるほど、それを感じるようになります。
「ギター弾きの恋」を観た時はこの映画を知らなかったので全くわからりませんでした。
細かいところはすっかり忘れていますが、好きな作品だったので時間のある時観てみたいと思います。
TBありがとうございました。
No title * by choro
★柴多さん、なるほど、ウディはフェリーニへの気持ちを自分の作品でたくさん表しているんですね。「スターダストメモリー」は未見なので是非観てみたいと思います。
No title * by choro
★Shinchanさん、すご~い!20回以上ご覧ですか。内容を充分理解するには何度もリピートしないとだめですよね。
でも、きっとこれはある程度年代が上になってから観た方が理解しやすいんだと思います。私も今観れてよかったです。
またしばらくしたら再見してみますね。
でも、きっとこれはある程度年代が上になってから観た方が理解しやすいんだと思います。私も今観れてよかったです。
またしばらくしたら再見してみますね。
No title * by choro
★ om3*5b*z3*z28 さん、はじめまして。ありがとうございます。
No title * by シーラカンス
この映画には参ります。失ったものはその時に気づかない、年老いてようやく気づくのが何とも切なすぎます。「ギター弾きの恋」は確かにオマージュでしょうね。TBさせてくださいね。
No title * by 柴多知彦
ウディ・アレンはフェリーニを敬愛していて「スターダストメモリー」は「8 1/2」へのリスペクトでしたが、きっと「ギター弾きの恋」は本作へのオマージュなんでしょうね。
No title * by shin
スクリーンでご覧になられたんですね…羨ましい(^^)v。
たぶん20回以上観てると思いますが、観る度により好きになる作品です。
スクリーンで観たい……(^^♪。
たぶん20回以上観てると思いますが、観る度により好きになる作品です。
スクリーンで観たい……(^^♪。
No title * by om3*5b*z3*z28
nice
せつないお話ですが、余韻の残る名作ですね。
人は失ってから気づくものの方が多いのかもとよく思います。